



ケニア ムテカ(キグワンディ)+オタヤ デカフェ
ニエリの輝きを、そのままデカフェで
“本当においしいデカフェをつくりたい” その想いから始まったプロジェクトの第2弾は、ケニアコーヒー。
高品質なスペシャルティコーヒーを生産することで知られるニエリのルキラ地区ムテカ(キグワンディ)と、オタヤのロットをブレンド。水と自然の力だけでカフェインを97%以上取り除くスイスウォーター®プロセスで仕上げた、ウォッシュド・デカフェです。
オレンジやアップルを思わせる、ケニアらしい明るい果実味に、キャラメルやハニーのやわらかな甘さ。ミディアムローストによって、輪郭のはっきりとした酸と、なめらかな質感を心地よく両立させました。
感じられるフレーバー
アバーデア山系がつくる、酸の設計図
世界中のロースターが信頼を寄せる、スペシャルティコーヒーの象徴的エリア、ニエリ。その品質を支えている大きな理由は、西側にそびえるアバーデア山系が生み出す“強い冷え込み”です。
一般的な高地では、日が沈むと気温はゆるやかに下がっていきます。けれどニエリは少し違います。夜になると、山頂付近で冷やされた鋭い冷気が斜面を一気に流れ落ち、農園をすっぽり包み込みます。この急な冷え込みによって、夜のあいだの呼吸(エネルギー消費)がぐっと抑えられます。果実の代謝が落ち着くことで、有機酸がしっかりと保たれます。
こうして生まれるのが、ニエリ特有の“引き締まった酸の輪郭”。山からの冷気という、自然の力そのものが、このはっきりとした味わいをつくっています。
そしてもうひとつ、ニエリを語るうえで欠かせないのが、年に二度訪れる雨季――二峰性気候です。これは単に成熟をゆっくりにするためのものではありません。大切なのは、土の中のリンを動かし続けていることです。
長い乾季が続く産地では、土壌が乾ききり、酸の生成に欠かせないリンが土の中にとどまりがちになります。一方ニエリでは、定期的な雨によって極端な乾燥が防がれます。そのおかげで、火山性の赤土に含まれるリンが水に溶けやすい状態が保たれ、木は安定して栄養を吸収し続けることができます。
冷え込みが、夜の代謝をゆるやかに整える。雨が、栄養の流れを止めない。
この二つが重なり合うからこそ、ニエリの酸は荒れず、濁らず、最後まで澄んだ印象を保つのです。
異なる系統が重なり合う、ニエリの構造
ニエリの味わいを形づくっているのは、「フィールドブレンド(混植)」という考え方です。ひとつの品種に頼るのではなく、異なる個性を重ね合わせて全体をつくる。その中心にあるのが、1930年代にスコット農業研究所で選抜されたSL28とSL34です。
SL28 ― 明るさを生む存在
SL28はブルボン系統。口に含んだ瞬間に広がる鮮烈さと、透明感のある酸を担います。冷涼な環境で有機酸をしっかり蓄える力があり、ニエリの“明るさ”をつくる立役者です。
SL34 ― 味わいを支える骨格
一方、SL34はティピカ系統。中盤から後半にかけてのボディと骨格を形づくり、伸びやかな酸と安定した質感で全体を支えます。SL28の輝きをやわらかく受け止め、奥行きのある余韻へとつなげていきます。
高域のSL28と、中域のSL34。
異なる遺伝的ルーツが重なることで、ニエリ特有の「明るさと厚みの共存」が生まれます。
その土台を支える存在
さらに、バティアンとルイルイ11が栽培の基盤を支えています。彼らは強い個性を前に出すための品種ではありません。病害リスクから農園を守り、SL系の繊細なキャラクターを安定して表現し続けるための土台です。
明るさを放つ層。味わいを支える層。そして、それを静かに守る基盤。
この重なりがあるからこそ、ニエリの味わいはバランスを崩さず、完成度の高いかたちへとまとまっていきます。
引き算で磨き、構造を守るプロセス
ニエリのウォッシュド精製を象徴するのが、最終工程の「ソーキング(浸水)」です。これは風味を加えるためではなく、発酵後にわずかに残るミューシレージ(果肉由来の粘質成分)や雑味を丁寧に取り除くための工程。余分なものを削ぎ落とす“引き算”によって、もともと備わっている酸の構造を曇りなく浮かび上がらせます。豊富な水資源に恵まれたニエリだからこそ可能な、精度の高いクリーンアップです。
乾燥工程でも思想は同じです。重要なのは単に水分を抜くことではなく、いかに均一に乾燥させるか。とくに高密度なSL系品種は内部の水分移動に時間がかかるため、急激な乾燥は外層と内層の水分勾配を生み、カップの歪みにつながります。そこで時間軸を段階的に管理し、表層水分の除去から内部水分の移動、安定化、コンディショニングまでを丁寧に進行。豆全体を歪みなく整えることで、再現性の高い品質へと導きます。
足すのではなく、削る。速めるのではなく、揃える。
その姿勢が、ニエリの澄んだ構造を最後まで守っています。
スイスウォータープロセス(脱カフェイン処理)
乾燥後の生豆は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州にある Swiss Water® 社 の専用施設へ。
ここで、化学薬品を一切使わず、水とカーボンフィルターの力だけでカフェインを除去します。
まず同じ産地のコーヒーを“基準液(Green Coffee Extract)”にし、風味成分を溶かし出す。
次に、豆をその液に浸すことで、カフェインのみを拡散させて除去。
活性炭フィルターを通し、カフェイン分だけを取り除いた液を再利用。
この工程を20時間以上かけてゆっくりと繰り返すことで、豆の中のカフェインは97~99.9%除去されながら、風味成分は保たれます。
“デカフェなのに、こんなに香りが残る”。
それは、Swiss Water® と出会ったからこそ実現した、手作業と科学の両輪でていねいに磨き上げられた逸品です。
開発秘話
“本当においしいデカフェをつくりたい”
その想いから、このプロジェクトは始まりました。
これまで、国内で流通するデカフェには「味がぼやけてしまう」「香りが弱い」といった印象を持つ方も少なくありませんでした。
私たち自身も、心からおいしいと思えるデカフェに出会うことが難しいと感じていました。
そんな中、スペシャルティコーヒーの審査会で、Swiss Water社の品質管理部で働く稲葉さんとの出会いがきっかけになります。会話の中で「実は、少量ながら特別に精製された“Premiumライン”がある」と聞き、その存在に強く惹かれました。
その後、現地との直接的なやりとりを経て、特別に仕入れることができたのが、「Emerald Micro Lot Series」。その第二弾として登場したのが、このケニアコーヒーです。
化学薬品を使わずに、ていねいに時間をかけてカフェインを取り除く......。ニエリの場合は、アバーデア山系が生む冷却環境によって育まれた“酸の構造”が、確かに残っていました。SL28の輝きと、SL34が支える骨格も感じ取れるレベルです。
また、焙煎で目指したのは、普通のデカフェでは出せない、酸と甘さの両立。安価なデカフェではフレーバーが弱く、浅煎り域ではバランスが崩れやすいことも少なくありません。
しかしこのロットは違います。最も酸と甘さが調和するポイントを探り、ミディアムローストで仕上げました。
このコーヒーは、「デカフェでも、スペシャルティの感動をそのままに」という想いをかたちにしたもの。
夜のリラックスタイムに、あるいは日中の穏やかなひとときに。心を静かに満たすような、豊かな味わいをお楽しみください。
【生産国】ケニア
【地域】ルキア、ニエリ
【生産者】ルキラ ファクトリー/ケニア ニエリ ムテカ キグワンディAB
【標高】1,600〜1,890 m
【品種】SL28,SL34,Baitan, Ruiru11
【プロセス】ウォッシュド+スイスウォータープロセス
【焙煎度】中煎り
Country:Kenya
Region:Rukira, Nyeri
Producer:The Rukira Factory and Kenya Nyeri Mutheka Kigwandi AB
Altitude:1,600〜1,890 m
Varietals:SL28,SL34,Baitan, Ruiru11
Process: Washed+Swiss Water® Process
Rost Level:Medium Roast
コーヒーの保存方法について >>
コーヒー豆は、チャック付バッグに入れてお届けいたします。
背面にはコーヒー豆の焙煎日が記載されています。
<美味しく飲む目安>
ハンドドリップ:焙煎から2〜3週間くらいが豆の持つ風味がバランスよく感じられます。
エスプレッソ:焙煎から3週間前後くらいが甘さを感じやすく、ミルクとの相性もよく感じられます。
焙煎後2ヶ月くらいまでを目安にお召し上がりください。
<長期保存について>
飲みきれない場合は密閉容器で冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は、半年ほどの期間を目安にお召し上がりください。
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