






コスタリカ ケブラダ・グランデ農園 サン・ロケ イエローハニー
Taste of Tarrazú
未来のコスタリカを映す、その可能性
パナマのゲイシャ、エルサルバドルのパカマラ──優れたコーヒー品種には、その魅力を最も美しく引き出す土地があります。私たちが、その並びに加えたいと考えているのが、コスタリカで育まれたサン・ロケ(San Roque)です。
そのルーツは、ケニアで育種された名品種SL28にあります。コスタリカへ渡った後、この土地の気候や風土に寄り添いながら、長い年月をかけて優れた個体だけが選び抜かれました。近年では「SL28」ではなく「サン・ロケ」の名で流通することも増え、気候変動が進む中米において、美しいカップクオリティを生み出す存在として、大きな期待が寄せられています。
今回ご紹介するのは、コスタリカ・タラス地区のケブラダ・グランデ農園(Quebrada Grande)で育まれたサン・ロケです。この農園は、Cup of Excellenceで精製方法の異なる複数部門において上位入賞を重ね、その確かな実力を世界に示してきました。
カップに広がるのは、品種と土地が織りなす、凛とした美しさ。ハーバルなニュアンスを帯びた香りから、オレンジやレッドカラントを思わせるみずみずしい果実味へ。ラズベリーの華やかな印象に、アプリコットのやわらかな甘さが重なり、最後はキャラメルを思わせる穏やかな余韻が静かに続きます。
コスタリカという土地が磨き上げた、新たな個性。このコーヒーとの出会いが、サン・ロケという品種を知るきっかけになれば嬉しく思います。
感じられるフレーバー
Origin of Costa Rica
カルデロン家が描く、新しいコスタリカ
コスタリカ・タラス地区に位置する**ケブラダ・グランデ農園は、ロス・アンヘレス・マイクロミル(Los Angeles Micromill)が所有・運営する農園です。マイクロミルとは、生産者が農協へチェリーを出荷するのではなく、自ら精製・乾燥までを行い、品質を一貫して管理するための小規模な精製施設のこと。コーヒーづくりの最終工程まで自分たちの手で担えることから、コスタリカのスペシャルティコーヒーを大きく発展させてきました。
生産を担うのはルイス・ディエゴ・カルデロン・カスティージョ氏を中心とするカルデロン家。彼らは栽培から精製まで一貫して品質を設計し、コスタリカを代表するスペシャルティコーヒーの生産者として世界的に高い評価を受けています。
2009年に設立されたロス・アンヘレス・マイクロミルは、それまで地域の農協へチェリーを出荷していた体制から、自ら品質を管理し、自ら価値を届けるために生まれました。その挑戦はわずか2年後、Cup of Excellence優勝という結果につながり、小規模な家族経営でも世界トップレベルの品質を実現できることを証明します。その後もドン・カジートをはじめ複数の農園で受賞を重ね、カルデロン家はコスタリカを代表する品質設計者として存在感を高めてきました。
ケブラダ・グランデも、その思想を受け継ぐ農園のひとつです。標高約1,800mの恵まれた環境で、サン・ロケやモカといった高品質品種を栽培し、植栽から間もないタイミングでCup of Excellence入賞を果たしました。優れた土地だけではなく、その可能性を引き出す経験と技術が、このロットにも息づいています。
Land and People
寒暖差が育む、タラスの輪郭
同じコスタリカでも、産地によってコーヒーの個性は大きく異なります。なかでもタラスは、昼夜の寒暖差が極めて大きいことで知られる産地です。昼間は谷に熱が蓄えられ、夜になると山から冷たい空気が一気に流れ込みます。この急激な温度変化は樹にとって大きな負荷となりますが、その環境こそが、この土地ならではの品質を育んでいます。
植物は厳しい環境に置かれると、自らを守るために代謝を緩め、糖や有機酸を種子へと凝縮させます。その結果、曖昧さのないクリーンな輪郭と、凛とした伸びやかな酸が形づくられていきます。豊かな日照によって複雑さを積み重ねる産地とは異なり、タラスの魅力は、必要な要素だけが研ぎ澄まされたような透明感にあります。
カルデロン家がケブラダ・グランデを選んだ理由も、この環境にあります。適度なストレスと十分な日照を兼ね備えた標高帯は、サン・ロケが持つポテンシャルを安定して引き出すことのできる条件です。土地が持つ力を見極め、その個性に合った品種を育てること。その積み重ねが、毎年ぶれることのない品質につながっているのです。
Native Varietals
環境に選ばれ、磨かれた品種
サン・ロケは、単なるSL28の別名ではありません。ケニアで誕生したSL28をコスタリカへ導入した際、多湿な環境では枯死や枝折れ、結実不良など、多くの個体が本来の力を発揮できませんでした。
そこでコスタリカの生産者たちは、厳しい環境の中でも優れた耐風性・耐病性とカップクオリティを示した個体だけを長年にわたり選抜。その結果、コスタリカの高地で安定して高品質なコーヒーを生み出せるセレクションとして確立されたのがサン・ロケです。現在では単なるSL28の別名ではなく、コスタリカで磨き上げられた品質規格として流通するケースも増えています。
気候変動が進む今、優れた環境適応能力とトップクラスの品質を兼ね備えたサン・ロケは、これからのスペシャルティコーヒーを支える存在として期待されています。カルデロン家もまた、その可能性を早くから見出し、この土地だからこそ表現できる味わいを育て続けています。
Yellow Honey Process
クリーンさを設計する、イエローハニー
ロス・アンヘレス・マイクロミルが手がけるイエローハニー(Yellow Honey)プロセスは、ミューシレージを約50%残し、約11日間かけて乾燥させる緻密な精製です。目指しているのは、発酵による個性を際立たせることではありません。素材そのものが持つ透明感と、土地や品種が育んだ美しさを、そのままカップへ映し出すことです。
その品質は、パルピングの瞬間から設計されています。エコパルパーのゲート圧や使用する水量を細かく調整し、ミューシレージを狙い通りの割合で均一に残すことで、乾燥工程まで見据えた理想的な状態をつくり出します。
乾燥は、多層式グリーンハウスの温度差を活用した二段階で行われます。乾燥初期は温度の高い上段で表面の水分を素早く取り除き、過度な発酵を防止。その後は下段へ移し、内部までゆっくりと均一に乾燥させます。表面だけが先に硬化する「カプセライゼーション」を防ぐことで、内部に水分が閉じ込められることなく、最後までクリーンで均質な品質へと仕上げられます。
華やかな香りや明るい果実味を支えているのは、こうした繊細な乾燥技術です。精製方法は個性を加えるためではなく、その年、その土地、その品種が持つ魅力を濁らせることなく届けるために設計されています。
Selected Lot Journey
一つの品種が、導いてくれた出会い
このロットとの出会いは、2024年に届いたオファーサンプルでした。数あるサンプルの中で自然と手が伸び、迷わず買い付けを決めたのがケブラダ・グランデのサン・ロケです。その時は「よいサン・ロケに出会えた」という印象で、現地に残っていた在庫も確保することができました。
その後訪れたCup of Excellenceのカッピングで、再びケブラダ・グランデの名前に出会います。Natural部門、Washed部門と、精製方法が異なっても印象に残るカップを追っていくと、そこには同じ農園、同じ品種がありました。精製が変わっても惹かれる理由は変わらない。その瞬間、この農園の品質は偶然ではないと確信しました。
さらに生産者を調べると、そこにあったのはカルデロン家の名前でした。思い返せば、私たちが毎年心を動かされてきたドン・カジートもまた、カルデロン家が手がける農園です。気づけば私たちは、カルデロン家が設計する味わいに惹かれていたのでした。
このサン・ロケは、その確信を与えてくれた特別なロットです。カルデロン家が積み重ねてきた経験と、タラスという土地、そして未来を見据えた品種選び。そのすべてが重なり、このコーヒーには、これからのコスタリカの可能性が静かに映し出されています。
【生産国】コスタリカ
【地域】タラス
【農園】 ケブラダ・グランデ農園
【生産者】ルイス・ディエゴ・カルデロン・カスティージョ
【標高】1,700〜1,850m
【品種】サン・ロケ(SL28)
【プロセス】イエローハニー
【焙煎度】中煎り
Country:Costa Rica
Region:Tarrazú
Farm:Quebrada Grande
Producer:Luis Diego Calderón Castillo
Altitude:1,700-1,850m
Varietals:San Roque (SL28)
Process:Yellow Honey
Rost Level:Medium Roast
コーヒーの保存方法について >>
コーヒー豆は、チャック付バッグに入れてお届けいたします。
背面にはコーヒー豆の焙煎日が記載されています。
<美味しく飲む目安>
ハンドドリップ:焙煎から2〜3週間くらいが豆の持つ風味がバランスよく感じられます。
エスプレッソ:焙煎から3週間前後くらいが甘さを感じやすく、ミルクとの相性もよく感じられます。
焙煎後2ヶ月くらいまでを目安にお召し上がりください。
<長期保存について>
飲みきれない場合は密閉容器で冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は、半年ほどの期間を目安にお召し上がりください。
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